ネットで見かける「これは本当?」と感じたら。ニュースと誰かの意見を見分けるヒント
ニュースか、感想か?情報過多の時代に大切な見分ける力
スマートフォンで今日のニュースを確認したり、気になる情報を検索したりすることが、私たちの日常になりました。たくさんの情報にすぐに触れられる便利な時代ですが、「これって本当なのかな?」「誰かの感想をニュースだと思ってないかな?」と、少し立ち止まってしまうことはありませんか。
インターネット上には、事実に基づいたニュースだけでなく、個人の考えや感じたこと、うわさ話など、さまざまな情報が入り混じっています。これらの情報が混ざったままになっていると、何が正しくて何がそうでないのか、判断が難しくなってしまいます。
この記事では、情報を見極めるための第一歩として、「事実としてのニュース」と「個人の意見や感想」を区別するためのヒントをご紹介します。この区別ができるようになると、インターネットの情報をより安心して、そして賢く使えるようになるはずです。
なぜ、「ニュース」と「意見」を見分けることが大切なの?
ニュースと個人の意見を見分けることは、私たちが世の中で起きていることを正しく理解し、自分自身の考えを持つためにとても大切です。
例えば、ある出来事について、事実に基づいたニュースと、それに対する個人の強い意見だけを見てしまうと、出来事そのものよりも、その意見に引っ張られてしまうことがあります。意見をあたかも事実のように受け止めてしまうと、物事の全体像が見えにくくなったり、特定の考え方に偏ってしまったりする可能性があります。
情報があふれる現代では、情報をただ受け取るだけでなく、それがどのような種類の情報なのかを意識することが、賢く情報を活用するための基礎となります。
「事実としてのニュース」ってどんなもの?
「事実としてのニュース」は、実際に起きた出来事や、確認された情報に基づいています。基本的には、記者が直接取材したり、信頼できる情報源(公的機関の発表など)を元に、客観的に書かれています。
- 客観的な出来事: いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、といった「5W1H」が明確に伝えられていることが多いです。
- 情報源の明記: 「〇〇省の発表によると」「目撃者の△△さん(仮名)の話では」のように、情報がどこから来ているのかが示されていることがあります。
- 感情的な表現が少ない: 出来事を正確に伝えることに重点が置かれているため、書き手の感情や強い個人的な感想は控えめです。
新聞の社会面や政治面にある記事、NHKなどの公共放送のニュースなどが、比較的「事実としてのニュース」に近いと言えるでしょう。
「個人の意見・感想」ってどんなもの?
一方、「個人の意見・感想」は、出来事に対するその人の考えや、感じたことです。「論説」「コラム」「ブログ」「SNSの投稿」「ニュース番組でのコメンテーターの発言」などがこれにあたります。
- 主観的な表現: 「〜だと思う」「〜した方が良い」「これは素晴らしい」「ひどい出来事だ」など、筆者や話し手の評価や解釈が強く出ています。
- 情報源が不明確なことも: 個人の経験や推測に基づいている場合、具体的な情報源が示されないこともあります。
- 感情的な言葉が多いことも: 出来事に対する感動、怒り、悲しみなどが、言葉遣いに強く表れることがあります。
個人の意見や感想が悪いわけではありません。それらは多様な考え方を知る上でとても参考になります。大切なのは、「これは事実を伝えているのか、それとも誰かの考えや気持ちを表しているのか」を意識することです。
ニュースと意見を見分けるための3つのヒント
では、実際に情報に触れたときに、これがニュースなのか意見なのかを見分けるにはどうすれば良いでしょうか。いくつか実践的なヒントをご紹介します。
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「誰が」「どのような立場で」発信しているかを確認する
- その情報が、信頼できる報道機関(新聞社、テレビ局、通信社など)から発信されていますか? それとも個人のブログ、SNSのアカウント、匿名掲示板などでしょうか?
- ニュース記事の場合、記者の署名や所属が明記されていることが多いです。個人の意見の場合は、「〜のブログより」「△△さんの投稿」のように、発信者が明確な場合と、そうでない場合があります。
- 発信者の普段の発言や、その媒体全体の傾向なども参考になることがあります。
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使われている「言葉遣い」に注目する
- 「〜らしい」「〜と言われている」といった伝聞や、「きっと〜だ」「絶対に〜すべき」といった断定的ながら根拠が不明確な表現が多い場合は、筆者の推測や強い意見である可能性があります。
- 一方で、「〇〇社の発表によると」「関係者の話では」のように、出典を明らかにする言葉が使われている場合は、事実に基づいている可能性が高いです。
- また、読者の感情を必要以上に煽るような、極端に強い言葉や差別的な表現が使われている場合も、客観的な事実よりも書き手の感情や意図が強く反映されていると考えられます。
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他の情報源と「比べてみる」
- 気になるニュースを見つけたら、同じ出来事について他のメディア(別のニュースサイト、新聞記事、テレビニュースなど)がどのように報じているかを確認してみましょう。
- もしそれが客観的な事実であれば、基本的な内容はどのメディアでも大きく変わらないはずです。しかし、伝えられる内容や強調されている点、使われている言葉がメディアによって大きく異なる場合は、それぞれの媒体の視点や、意見・解釈が含まれている可能性があります。
- 特にネットの情報は、気になる部分だけを切り取って検索するのではなく、信頼できるニュースサイトのトップページや、新聞の主要ニュースなど、全体の流れの中で確認することも大切です。
インターネット広告の中には、ニュース記事のような見た目をしているのに、実際は商品やサービスを紹介する「広告(プロモーション)」である場合もあります。「PR」「広告」「タイアップ記事」といった表示がないかどうかも、合わせて確認する習慣をつけましょう。
まとめ:賢く情報を「選ぶ」楽しみを
インターネットにあふれる情報の中から、「事実としてのニュース」と「個人の意見・感想」を区別することは、情報に振り回されず、自分自身の考えをしっかりと持つためにとても重要です。
ご紹介したヒントを参考に、情報の「発信者」「言葉遣い」「他の情報源との比較」を意識してみてください。すぐに完璧に区別できなくても大丈夫です。少し立ち止まって「これはニュースかな?意見かな?」と考えてみる、その習慣を持つこと自体が、情報過多の時代を賢く生きるための大きな力になります。
情報をただ受け取るだけでなく、それがどんな情報なのかを選び取っていくことは、知的な楽しみでもあります。ぜひ、ご自身のペースで、メディアの情報を読み解く力を磨いていってください。